海外勤務者の報酬の取り扱い

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2014年03月27日


海外勤務者の報酬の取り扱い

日本国内の厚生年金保険適用事業所での雇用関係が継続したまま海外で勤務する場合、出向元から給与の一部(全部)が支払われているときは、原則、健康保険・厚生年金保険の加入は継続します。その場合の報酬の基本的な考え方については以下のとおりとなります。

◆労働の対償として経常的かつ実質的に受けるもので、給与明細等に記載があるものについては、原則、全て「報酬等」となります。
◆海外の事業所から支給されている給与等であっても、適用事業所(国内企業)の給与規定や出向規定等により、実質的に適用事業所(国内企業)から支払われていることが確認できる場合は、その給与等も「報酬等」に算入することになります。
◆適用事業所(国内企業)の給与規定や出向規定等に海外勤務者に係る定めがなく、海外の事業所における労働の対償として直接給与等が支給されている場合は、適用事業所から支給されているものではないため、「報酬等」には含めません。



Q&A
Q.国内適用事業所から支払われる給与に渡航費用の精算額が含まれている場合も「報酬等」に含めることになりますか?
A.渡航費用が実費弁償を行ったものであることが確認できれば、「報酬等」には含めません。

Q.外貨で給与を支払った場合の取扱いは?
A.外貨で給与等を支払う場合は、実際に支払われた外貨の金額を、支払日の外国為替換算率で日本円に換算した金額を報酬額とします。

Q.厚生年金保険法における「報酬」とは?
A.厚生年金保険制度において、報酬とは、労働者が、労働の対償として受けるすべてのものと規定されており、労働の対象として、経常的かつ実質的に受けるもので、被保険者の通常の生計に充てられるすべてのものを含有するものとされています。また、一定の給与規定等に基づいて使用者が経常的(定期的)に被用者(労働者)に支払うものは、報酬に該当することになります。
雇用契約を前提として事業主から食事、住宅等の提供を受けている場合(現物給与)も「報酬等」に含まれることになります。
 ○「報酬等」に該当するもの
  【例】賃金、給与、俸給、賞与、インセンティブ、通勤手当、扶養手当、管理職手当、勤務地手当、休職手当、休業手当、待命手当
 ○「報酬等」に該当しないもの
  (1)労働の対償として受けるものでないもの
   【例】傷病手当金、内職収入、労災法に基づく休業補償、解雇予告手当、財産収入、適用事業所以外から受ける収入
  (2)事業主が負担すべきものを被保険者が立て替え、その実費弁償を受ける場合
   【例】出張旅費、赴任旅費
  (3)事業主が恩恵的に支給するものや、労働の対償として支給されるものであっても、被保険者が常態として受ける報酬以外のもの
   【例】見舞金、結婚祝い金、せん別金、大入袋
    ※恩恵的に支給されるものであっても労働協約等に基づいて支給されるもので、経常的(定期的)に支払われる場合は、「報酬等」に該当します。
    ※上記の【例】、は一般的な場合を想定したもので、名称だけでなく実態に合わせて「報酬等」に該当するかどうかの判断を行います。


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